人はいろいろ不思議な体験をするが、私も先日不思議な体験をした。それは火曜日の早朝のことである。火曜日と金曜日は燃えるゴミの収集の日なので出しに行った。集積所まで家の裏口から一本道である。ゴミ出しは私の担当であるから、その日もゴミを出して帰っていたところ、前方からこちらに向かって歩いてくる人があった。私は朝の散歩する人だろうぐらいに思ってたいして気にも止めずに歩いた。

 やがてだんだん近づいてきた。その人はマスクをして俯きながら歩いてくる。私はすれ違う直前、挨拶をして顏をみた。すれ違ったあと私は「おや?今の人は先日亡くなった同じ町内会のYさんの顏ではないか?」と思った。そんなバカなことがあるわけがないと思い、すぐ振り返ったが不思議なことに誰もいない。その先にはYさんの家がある。

 ちょうどその場所は、もう半年かそれ以上前か家内と二人で狐をみた所である。二人の目の前をゆっくり走っていったのである。最初、犬かと思ったが目の前を走り去った姿は犬ではなかった。ゆっくり走って行ったので二人とも見間違えるわけがない。狐だった。

 そういう場所だったので私はゴミ出しを終えたあと、家内にすぐ「さっき先日亡くなった町内会のYさんに出会った。」と報告した。家内は「そんなバカな話があるわけがない。嘘でしょ。」といった。私は答えた。「嘘だよ」

さて、どこが嘘でどこが本当でしょう?