毎年3月に行なわれる文化財センター講座で今年は井原市の下出部(しもいずえ)にある戸木荒神山城に登った。天気は良く参加人数は20数名だった。井原線のいずえ駅から登ると早いのだが、行程はリフレッシュ公園に集合し岩屋観音院、戸木荒神山城、大曲を通りリフレッシュ公園に帰るというものだった。午前10時に集合し、まず、岩屋観音院へ行った。切り立った崖があり少し怖かったが、石に彫られた石仏は見事だった。

 そのあと戸木荒神山城めざして歩いた。途中で時折ウグイスが鳴いた。松葉の落ち葉を踏みながら歩くと、子供の頃、同じような山道を通りながら山畑へ行ったのを思い出した。なだらかな斜面の山畑だった。小さいから記憶もおぼろであるが、農業をしていた父母についていったのだろう。それと同じような山道の感覚だった。懐かしいような不思議な気持ちだった。

 戸木荒神山城は戦国時代、伊達大蔵という武将の居城である。伊達大蔵は荏原の高越城主伊勢氏との戦いで敗れ軍之森(出部小学校の近く)において討ち死にしたという。私の実家は出部小学校の近くにある。私たち出部村の先祖は田を荒らされたり、食物を奪われたり、戦乱に巻き込まれた者もあったかもしれない。遥か500年近く前の出来事である。