先週、NHKの日曜美術館で、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏の小説「浮世の画家」を紹介した。戦時中に、軍の要請で戦意高揚のため、戦争画を描いた画家の辿っていく道を描いた小説である。番組の中で、カズオ・イシグロ氏のインタビューがあったが、芸術の意義とか、画家の戦争責任とか、話している内容はとても質が高く感心した。

 その「浮世の画家」のドラマが今月31日のNHK教育テレビで放映される。主演は渡辺謙で、そのドラマの中に3枚の絵が出てくる。その中の1枚が、とても綺麗な美人画で上の写真である。あとの2枚も良く描けているが、この絵は憂いを帯びた中の一瞬の美しさを見事に表現していると思う。